アドバイザリーボードコラム

株式会社エクサ 森田氏よりの投稿

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[2006年10月25日]

第1回  システム運用部門におけるお客様満足の達成に向けて
(株式会社エクサ 森田氏よりの投稿)

[プロフィール]
森田 和夫(もりた かずお)   株式会社エクサ  第1事業部 理事
1947年生まれ。群馬県出身。
NKK(現JFEスチール)に入社、本社及び製鉄所の情報システム部で主としてシステム基盤構築、システム運用を担当。1987年分社独立した(株)エクサで、技術部、金融系SIプロジェクトを経て、JFE向けコンピュータセンター所長としてY2K問題、日本IBMアウトソーシング化、ISO9000s認証取得、ISMS認証取得、EXGMS構築、JFE経営統合に伴うコンピュータセンター統合、等を推進。

お客様はシステム運用部門に何を期待しているか

まず運用部門の果たすべき役割として、一般的に次のことがあげられる。

  • 適用業務システムを正確に運用し、必要な情報をタイムリーにお客様へ提供する。
  • 情報資産を安全に運用管理し、お客様が必要とする時にタイムリーに提供する。
  • 障害発生時には、速やかに回復処理を行ない、お客様への影響を最小限に留める。
  • 適用業務システムが、機能面・価格面で競争力を維持できるシステム基盤環境を提供する。
  • 適用業務システムの継続性を保証し、変更・拡張が柔軟にできるシステム基盤を提供する。
  • 許容できるシステム運用費用で、必要な新技術を利用できる。

ここで大切なのは、高価な最新鋭のシステム基盤環境を整え、完璧なセキュリティ対策を施し、障害発生ゼロのシステム運用を行うことが必ずしも正解だとは言えないことである。お客様夫々のニーズと身の丈に合ったシステム運用を行う事が肝要となる。

システム運用部門はお客様の期待に如何に応えるか

システム運用部門として、前述のお客様の期待に応えて行くのが基本要件ではあるものの、その一つ一つの達成には、それなりの準備と努力と実力を兼ね備えなければならない。それらを達成するだけでも至難の業ではあるものの、ここでは、それらの基本要件がきちんと行われたとして、更に話を進めてみよう。
お客様とシステム運用部門で約束したサービスレベルや、応答時間、稼働率、TCO、基盤の継続性、等などが、きちんと守られたとして、お客様はそれで満足してくれるだろうか。答えは「否」である。一言で言えば、お客様の満足には「これで終わり」は無いのである。

  • 設定した目標を達成したら、更に上位の目標が出てくるのは当然。
  • 他社・他所のシステム運用方式よりも、一項目でも劣っていたら、お客様は不満に感じる。
  • 現状に満足していたら、世の中の変化に取り残され競争力が低下してしまうと感じている。

お客様の満足度を如何にタイムリーに把握し、向上させていくかが鍵

お客様満足度調査の仕方には、大きく分けて次の2通りの方法がある。

  • 半年とか1年毎に定期的にお客様へ満足度調査アンケートを行う方法。
  • プロジェクト完了等の仕事の区切りで、お客様へ満足度調査アンケートを行う方法。

しかしシステム運用部門は、完璧にこなして当り前と思われている職場であり、アンケート直前に運悪く障害でも発生しようものなら、それまで幾ら安定稼動していたとしても、満足度調査は惨憺たる結果となってしまうのが常である。
また、アンケート調査だけに頼っていると、アンケートとアンケートの間に生じたお客様の不満に対する気付きやアクションができず、不満が累積し、満足度調査時点で最悪の結果になりかねない。
そこで、(株)エクサではシステム運用部門独自のお客様満足度調査の方法を考案・実践し、効果を挙げているので、その一部を紹介する。

日常観察方式による、お客様満足度の測定

お客様とのあらゆる会議や報告時に、”お客様の言動を満足度として観察”し5段階評価して議事録の一部として記録。5段階評価の目安は次の様に、ごく簡単なものとしている。

1.  (非常に悪い)
:怒り、居眠り、無視、あきらめ顔、・・・
2.  (悪い)
:イライラ、嫌味、あくび、気もそぞろ、・・・)
3.  (普通)
:普通
4.  (満足)
:納得顔、有難う、良く出来てるねと誉められた、・・・
5.  (非常に満足)
:大変感謝、本当に助かった、わくわく、建設的な話に進展、・・・

測定結果の共有化と、分析・評価・対策の実施

観察者の主観により測定結果に多少の相違は出るが、この”観察”するという意識・行為が大きな効果をもたらす。

  • お客様がどの様に感じたか、を積極的に観察する事で、お客様の真の心が掴める様になる。
  • 観察を繰返す事で、お客様に対する”感度”が良くなり、言われてからやるのでは無く、言われる前にやる”攻めの運用”へ脱皮できる。
  • 観察結果を関係者で共有化することで、より効率的なシステム運用に繋がる。
  • 時間的なズレが生じるアンケート調査と異なり、観察結果を直ぐに対策に結びつける事ができる。

また日々の測定結果の累積、傾向分析、及び前期との比較評価等も実施している。更にシステム運用に関する半期毎の経営者への報告(マネージメント・レビュー)で、会社としての評価と方向性の確認にも利用している。

お客様満足度向上に向けた取り組み

システム運用の仕事は上手く行って当り前であり、何か障害でも起そうものなら、直ぐにお客様からのクレームが落ちてくる。同じ仕事をやるのならば、誰でも気持ちよく、達成感を味わいながら、お客様から感謝されてやりたいものである。
その為には、お客様にシステム運用と言う仕事を知って貰うと共にシステム運用の重要さを如何に認めて貰うかが鍵。とかく日陰の存在になり勝ちなシステム運用を可視化し、アピールし、付加価値を付ける事で、仕事を楽しむ、システム運用を楽しむ組織風土創りに脱皮できるものと考えている。最後に、最近エクサで取組み始めた”お客様満足度向上策”の幾つかを紹介してみよう。

  • お客様窓口の一本化

    従来は障害が発生した時には運用担当が、設備・技術等の相談は技術担当が、費用については管理担当が、とその時々の要件により、お客様と折衝する人が別々であった。時には3人が一緒に行かないと纏まらない事もしばしばであった。お客様の満足度を観察する中で、一人で全てをカバーできたらお客様は喜ぶのでは無いか、と感じ、現在では、お客様それぞれに一人の窓口責任者を配置し、お客様からは大好評となっている。
    当初は窓口責任者も戸惑いを見せたり、知らない事ばかりで苦労した様であったが、責任の重大さと、お客様に直に接する事から今までとは違った楽しみを感じている節も感じられる。お客様も、窓口責任者と何回も顔を合わせている内に、こいつを一人前に育ててやろう、と言ったありがたい対応もして頂いている。

  • 職場内会議でも”満足度の測定”を採用

    お客様との会議や打合せだけで無く、昨年からは職場内での会議についても、満足度把握を行っている。職場内会議の最後に出席者全員から”会議の満足度”を5段階申告(口頭)して貰っている。評価理由も一緒に述べられるので、次の会議にはその反省が直ぐに活かされている様である。

『個人の満足なくして組織の満足はなし、組織の満足なくしてお客様の満足はなし、お客様の満足なくして事業継続はなし』 この言葉は、あらためて”システム運用部門におけるお客様満足の達成”の大切さを再認識させられる言葉でもある。

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