アドバイザリーボードコラム

株式会社エクサ 森田氏よりの投稿

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[2007年6月20日]

第4回  システム運用における目標管理と達成度評価
(株式会社エクサ 森田氏よりの投稿)

[プロフィール]
森田 和夫(もりた かずお)   株式会社エクサ  第1事業部 理事
1947年生まれ。群馬県出身。
NKK(現JFEスチール)に入社、本社及び製鉄所の情報システム部で主としてシステム基盤構築、システム運用を担当。1987年分社独立した(株)エクサで、技術部、金融系SIプロジェクトを経て、JFE向けコンピュータセンター所長としてY2K問題、日本IBMアウトソーシング化、ISO9000s認証取得、ISMS認証取得、EXGMS構築、JFE経営統合に伴うコンピュータセンター統合、等を推進。

目標管理は何故必要か

ゴルフをやるにしろ、マージャン・フィッシング・フットサルをするにしろ、「今日はこの位のスコアで廻ろう」とか、「今日はあいつには絶対勝ちたい」とかの目標を誰でも立てていると思う。

私がよく幹事をするゴルフコンペでも、オネストジョンと言う”目標管理”を採用し、各人が予め申告 したスコアと、実際のスコアの較差分だけ罰金を払い、表彰式の費用に充てている。参加者は自己申告したスコアに近づけようと努力している様ではあるが、一向に反省の色も無く、目標とはかけ離れた結果になり、おかげさまで毎回豪華な表彰式を行っている。

仕事でも何かを行う時には、必ず目標を立てているはずである。プロジェクトであれば、いつまでに、何を、どの位の費用で、・・・完成させるか、と言った具合に目標を立てていると思う。

システム運用の仕事ではどうであろうか。出来上がったシステムを淡々と運用するだけだから、特 に目標は立てる必要が無い、と思っている人もいるかもしれない。しかし、目標を立てずに仕事をしたら、そこで働く人達の達成感も得られず、仕事の結果についても良いか悪いかの判断がつかず、何の向上心も沸いてこなくなってしまう。その様なシステム運用を続けていたら、世の中の変化に取り残されるだけで無く、競争力を失ってしまうことになる。

目標設定の仕方

それではシステム運用の目標はどの様に設定したら良いのだろうか。システム運用の職場を見学すると、「システム障害発生をゼロにしよう」、「稼働率100%を達成しよう」と言ったキャッチフレーズが掲示されている事がある。これもシステム運用の目標設定の一つと考えられる。

しかし本当にシステム障害の発生をゼロにできるのだろうか、稼動率100%は本当に達成できるのだろうか、と心配してしまう。どんなにテストを繰返したプログラムでもバグの1つや2つは残っているだろうし、機器故障や人的ミスによる障害は発生の確率は低くなったとしても、ゼロには出来ないのでは無いかと心配してしまう。また目標設定は年度初めにする事が多いと思うが、最初の月に障害が発生してしまい、年度目標未達が早々に確定して、残り11ケ月をむなしく過ごした経験は私だけだろうか。

私ども(株)エクサでは、人事制度の一環として「目標管理制度」を採用している。社長の設定した年度目標を受けて、事業部の年度目標、更に部の年度目標、チームの年度目標とブレークダウンして行き、最後は個人の目標設定まで繋がっている。

職制が設定した目標、各人が設定した目標は、上位者と相談した上で承認を受け最終確定する。確定した目標に対して、定期的に達成度を上位者と確認し、必要に応じて対策を講じている。当然年度末には組織目標、個人目標の達成度に対する評価が行なわれ、それが組織及び個人の業績評定に反映されている。

この様に設定した目標の達成度が、個人の業績まで反映されるとなると、目標の設定に際して真剣にならざるを得なくなる。システム運用に携わるメンバーも、上位者の”意”を汲みつつも努力すれば手の届くであろう目標を模索する事になる。自部門又は個人で取組めるシステム運用そのものに関する改善ならば目標設定し易いが、「機器修理部品の品質向上」や「業務システムの品質向上」の様に、他部門の努力・結果に依存するものについては、目標設定としては不適切である。

またシステム運用は毎年継続する仕事であり、プロジェクト等と違って「これで完成」と言う区切りを付け難い。そこでシステム運用部門としての目標設定を行う時には次の点を考慮している。

  • 毎年少しずつレベルアップすべき目標。
  • 単年度だけで設定すべき目標。
  • 項目名は同じでも、年度毎に目標値を変えるべきもの。
  • 意識的に変革を促す目標。

障害発生の目標を設定するとしたら、単純に毎年障害発生件数を減らすのでは無く、その年に実施するであろうシステム変更度合いを反映して、時には前年度よりも目標件数が増加する事もある。
また障害発生に関する目標設定ならば、件数だけで無く、停止時間、類似障害数、影響度合、と言う様に、それぞれ類似する項目を意識的に別々に目標設定する。そうする事により、件数は目標を超過してしまったが、停止時間は目標を達成した、と全てが目標未達になる事は防止できる。更にシステム運用と言った比較的受動的な仕事の中で、改善提案件数、社外発表回数、等の能動的な目標も意識的に設定している。

要はシステム運用と言う比較的地味な仕事と言えども、メンバーが努力すれば手の届きそうな目標を、毎年飽きさせずに如何に設定するかが鍵であり、システム運用の品質や、業務効率化等が年々向上して行く様な目標設定を行うのが重要である。

目標達成に向けた活動計画

部の年度目標、チームの年度目標が纏まった段階で、部のメンバーを一堂に集め、部長及びチームマネージャー夫々が作成した年度目標について詳細の説明を行ない、目標達成に向けたキックオフミーティングなるものを行っている。目標達成には気の合う仲間数人で行うサークル活動的なもの、職制が強制的に進めるもの、個人で行うもの、と夫々の活動の仕方は異なる。

部の年度目標が公開されると、部内で設けている職場活性化活動の中に「XX部会」「XXサークル」なるものを立上げ、夫々の自主活動に参加するメンバーを募集する。夫々の部会やサークルでは、メンバーの話し合いで具体的な目標や活動計画を検討し、職制の承認を得た上で活動を開始する。夫々の部会やサークルに参加したメンバーは、組織目標の達成に向けた自主活動を推進すると共に、個人としての目標にも反映している。

また、業務に密着するものは、システム運用業務の一環として職制管理により推進するものもある。業務に密着した目標設定だけで無く、中には風通しの良い職場風土作りの為、納涼会や飲み会のイベントへの出席率を95%以上を目指す、と言った個人目標を設定する人もいる。ここで大切なのは、自分勝手に目標設定しているのでは無く、組織目標に沿って目標を設定しているのだ、と言う事を組織全体で共有化することである。

活動の推進

ここではこれまでに行った職場活性化活動を通じた目標設定の推進について紹介する。

  ●ブレークするー部会

  • 業務改善提案制度であり、「企画提案1件以上/人」、「企画提案・実行1件以上/人」、「企画提案&自分で実施1件以上/人」と言った具合に、年々少しずつ目標を変更している。
  • 部会メンバーが提案された申請書を審査し採否を決定する。又、進捗管理、実施効果についても部会として取り纏めて報告している。
  • 活動を通じ各人の企画提案力を養うと共に、自身の企画提案の採用による達成感を得る。
  • 年度末には、メンバー全員の投票で最優秀提案賞を決定し、記念品をつけ表彰している。

  ●資源活性化部会

  • コンピュータ資源の無駄な消費を改善すべく、CPU処理の改善▲N%、DASD使用量の改善▲N%、と言った目標を設定し、設備増強の抑止に役立てている。
  • 目標達成に向けて資源使用状況の調査、分析、評価を行い、無駄の発見、チューニングの実施、システムの理解を深めるなどの効果が得られている。この活動はお客様からも高い評価を頂いている。

  ●イベント部会

  • 組織の一体感、風通しの良い職場、コミュニケーションの強化等を狙い、組織全体としての各種行事を企画し実行している。行事の回数、メンバー参加率等を目標設定している。
  • チーム別等の参加率を提示する事で、競争心をあおり、一体感を醸成すると共に、部会メンバーはより参加率の上がる様なイベントを企画する事になっている。
  • イベントへの参加率向上は、そのまま仕事の一体感、チームワーク醸成に繋がっている。

  ●ホーム・ページ運営部会

  • 仕事の成果、各種情報の共有化、組織活動の社内へのPR、を目的に、イントラのホームページを活用して情報発信している。
  • よく他の職場は何をやっているか分らないとか、隣の人は何をやっているのか分らない、と言った事を避ける意味でも、このツールを利用した情報共有は有効である。
  • 但し、難しい内容や堅苦しい内容ばかりでは、作る方も楽しさが薄れ、見る側も飽きがきてしまうので、趣味の紹介や巷の情報提供などの趣向を凝らしている。

  ●ゆとり部会

  • システム運用部門は、ユーザー部署が休日の時や夜間に基盤変更を行う事が多い。その為、どうしても残業時間が多くなったり、年休の取得が中々進まない状況になり易い。
  • 少しでも生活にゆとりを持たせようと、残業時間の削減XX時間/月、年休取得増進XX日/年、と言った目標を設定し、部会メンバーがあれこれと工夫している。
  • ノー残デー(全員が残業をやめる日)を設置し、朝一番で部の全員に「今日はノー残デーです」とメール発信したり、夕方になると周囲に「今日はノー残デーですよ」と声を掛けている。

他にも色々な部会を設け目標設定して活動しているが、ここでは名称だけ紹介し詳細は省略する。

  ●ビジュアル部会、マナー部会、文書管理部会、電子コミュニケーション部会、交流部会。

活動結果の分析・評価

目標を設定し活動を推進した結果は、当然その達成度により評価することになる。達成度の評価として四半期毎の進捗状況だけでなく、目標達成に向けたプロセスそのものの評価も行っている。たとえ目標値を達成していても、その達成プロセスに問題があれば、その内必ず破綻が生じてしまい、最終目標は達成できなくなる恐れもある。結果オーライの目標達成を防止するためにも、このプロセス評価は重要なものと考えている。

四半期毎の目標達成に向けたプロセス評価と進捗を、それぞれの上司に報告する場で、必要なプロセスの見直しを行っている。また半年毎に行う組織のマネージメントレビュー(QMS、ISMS)の場でも報告し、経営層の判断を仰いでいる。

達成度評価で注意すべき点は、たとえ小さな目標であっても、たとえ目標未達だったとしても、「その目標達成に精一杯取組んだかどうか」、を評価してやることである。この目標達成に向けた努力の積重ねが、システム運用と言った地道な活動にとっては必要不可欠なものと考えている。

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