[2005年11月2日]
第2回 ITILに関するお客様の現状
ITシステム運用におけるベスト・プラクティスとされる「ITIL」に関する各社の現時点での取組状況についてレポートいたします。2005年秋
itSMF Japanについて
ITILを普及させることが目的である、NPO(非営利特定法人)itSMF(Service Management Forum)の日本法人が2003年に発足してから、2年ほどが経過しました。雑誌等の特集でITILが取り上げられ、また、一般の書店でもITIL関連の書籍が手に入るほど、ITシステム運用への注目度が高まってきています。BSPグループにおいても2003年秋からitSMF Japanに参画し、コンファレンスへの出展や、分科会活動に協力しています。
今年の7月末に年に一度のイベントである、第2回itSMF Japanコンファレンスが開催されました。開催規模は昨年の2倍、参加者は延べ1600人という規模で開催されました。第1回コンファレンスでは、ユーザ企業の割合は3割程度でしたが、今年は5割に増加し、ベンダー主導からユーザ企業主導という本来の形へと移行しつつあることが推察されます。本来、itSMFはユーザによるマネジメントフォーラムであり、私どものビーコンユーザ会と同様に、ユーザ企業による活動が重要であると考えます。
また、今回はプレゼンテーションや出展内容においても、第1回コンファレンスで多く見られた「ITILそのものの紹介」ではなく、活用事例や、第三者認証の話題など、より具体化した内容へと進化しています。
実際のITILへの取り組み状況
実際のITシステム運用の現場におけるITILへの取り組みは、メディアなどでの取り上げられる割合や、ベンダーの宣伝の割には、まだまだこれからの感があります。
当サイト、kaizen-ikasuにおけるベンチマークの結果を見ても、関心は高いものの、ITILの活用が「未定」、または「予定はない」企業が半数を占めています。
逆の捉え方をすれば、約半数の企業はITILへの取り組みを始めたと見ることもでき、今後の成功事例や、第三者認証(ISO化)の状況によって、さらに取り組みを始める企業が増える可能性は高いと考えます。
<Kaizen-Ikasu ベンチマーク結果 (アンケート母数123社)>
| ITIL関連の無償セミナーへの参加 |
57% |
| ITIL関連の有償セミナーへの参加 |
26% |
| コンサルを受けたことがある |
17% |
| ITILを活用した運用改善 |
実施した15%、実施を検討中33%、未定34%、実施の予定はない18% |
ご参考までに、各業種別の企業における取り組み方や、状況の一例をまとめました。
| データセンター |
- ビジネス上、顧客からITIL準拠の運用を求められる場合があり、差別化と、企業価値を高めるため、BS15000/ISO20000の取得にむけた活動を開始
- ITILの全社浸透を第一目標として、教育から取り組みを開始
- 全社員に対し、ITIL資格の取得を義務付け
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エンドユーザ
システム運用部門 |
- 社長、役員、開発、企画部門など、ITシステム運用以外の他の部署や役員などからITILの調査指示を受け、調査を開始
- システム子会社において、親会社とのITサービスレベルの明確化のため、SLA(Service Level Agreement)の締結を行う必要性が出てきた
- ITILについては、情報収集を行っている段階
- 運用改善をテーマとした活動を行っているが、ITILへの取り組みはこれから
- ITIL関連書籍を読み「当り前の事で、当社は実行出来ている」と考えている
- 一過性のトレンドに過ぎないと考えているので、考えていない
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| ベンダー・メーカー |
- ITILツールと呼ばれる製品を持つベンダー・メーカーは、ITILをキーワードとしたプロダクト販売中心にユーザ企業に提案
- ITILによる運用改善ではなく、ツール販売の傾向がみうけられる
- コンサルティング会社やデータセンターと同様の施策をとる場合も多い
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| コンサルティング会社 |
- BS15000/ISO20000の第三者認証取得支援サービスを提供
- ITILの教育ビジネスを提供
- 運用改善におけるコンサルティングではなく、どちらかというと「ITILそのもの」のコンサルティング・サービス
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| メディア |
- 日経BP社の雑誌での特集、ITILに関連するセミナーが多数開催され、システム運用=ITILというイメージが定着してきた。
- 一般の書店にもITILに関する書籍が置かれているほど、浸透しつつある。
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ITサービス・インフラストラクチャを提供する側の論理
ITシステムをビジネスの観点から見た場合、オープン化が進み、システム開発における市場価格の低下などの各種要因により、SIの採算性が悪化、新たなる事業分野への進出が必要不可欠になっているといえるでしょう。
また、システム開発やERPなどの需要が一巡し、ITサービスにおけるあらたなビジネスの展開を考えた場合、上流と呼ばれる「業務分析や、コンサルティング」の領域と、下流と呼ばれる「ITシステム運用」の領域を目指す流れが現れるのは必然といえるかもしれません。
タイミングよくITILといったシステム運用の手法が登場したこともあり、いままで「よくわからないもの」と捉えられていたシステム運用への参入障壁が低くなり、ビジネスチャンスとして、今まであまり注目されなかったITシステム運用の世界に注目が集まったのではないかと考えています。
ITILの活用はシステム運用において有効であると考えますが、自社が何を目指すのか(ビジョン)を明確にした上で、各社の提供するサービス内容や、ITILを活用したソリューションを吟味し、利用することが必要といえます。
ITILの今後の流れ
グローバル化が叫ばれる中、ITILだけでなく、日本版SOX法の話題が盛んに取り上げられています。SOX法の対応においてはITILが有効であるといった記事も見られるようになってきました。
昔からシステム運用の世界では、「開発は一度、運用は一生」と言われてきました。
実はITILにもCSIP(Continues Service Improvement Program)、継続的サービス改善プログラムとして、PDCAサイクルによって継続的にサービスを改善すべき、とする考え方が定義されています。私見ですが、CSIPは「運用は一生」と同義語ではないかと考えています。日本でも世界でもシステム運用の真髄は、「継続的な改善」であるといえるのではないでしょうか。
現時点でITILに関しては、日本ではまだベンダー主導の状況にあると考えます。しかしながら、ユーザ企業における取り組みが増えるにしたがい、システム運用のグローバルスタンダードとされているITILが、日本版としてアレンジされ、より有効な形で活用できるようになるのではないかと考えています。
1年後、ITILを取り巻く環境がどのように変化しているかレポートしたいと思います。
次回はITILの根幹のであり、具体的な取り組みの第一歩である、SLAを中心としたサービスレベル管理についてレポートする予定です。
今後の掲載予定
- サービスレベル管理について
- ベストプラクティスとは何か
- インシデント管理への取り組み
- サービスデスクによる、顧客満足度の向上
- ITILを活用するための運用システム
- ITILとSOX法
BS15000:British Standard 15000 ITサービスマネジメントのおける英国の第三者認証規格
COBIT :Control Objectives for Information and related Technology
ITILはOGCの登録商標です。