運用事例集

BSP Internationalレポート

[2006年3月15日]

 最近のメディアで大きく取り上げられている話題のひとつとして、「ライブドア・ショック」がありますが、米国でもエンロン事件やワールドコム事件の再現として、センセーショナルに報道されました。 今回は米国SOX法のきっかけとなったエンロン事件やワールドコム事件を振返りながら、SOX法について見直してみたいと思います。

 米国ではエンロン事件やワールドコム事件発生直後にSOX法が施行され、コーポレートガバナンスの強化に取り組んできました。そのため日本の「ライブドア・ショック」の報道に対して、「米国SOX法で既に規制していることが発覚しただけ」とした冷ややかな見解もありました。
 ところで米国SOX法では、コンプライアンス違反に対する懲役や多額の罰則金が定められています。エンロン事件やワールドコム事件では、2005年7月に旧ワールドコム社の元CEO (最高経営責任者)が禁固85年を求刑され、禁固25年の実刑判決を言い渡されました。また、2006年1月に旧エンロン社の元CEOの審理が開始されたのは記憶に新しいところです。
 米国SOX法第1106条に、20年の禁固ならびに2,500万ドルを上限とした罰金などが定められており、また第404条ではCEO(最高経営責任者)とCFO(最高財務責任者)がSEC(米国証券取引委員)へ提出する書類に対して責任を持ち、虚偽がないことを証明することが要求されています。
 これに対し、2005年7月に公開された日本版SOX法と呼ばれる「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(公開草案)」では、刑事罰については特に触れられていませんでした。また、2003年に日本で施行された個人情報保護法の罰則規定では6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金となっているにも関わらず、相変わらず情報漏洩のニュースは毎日のように聞こえてきます。日本の場合、「ライブドア・ショック」に見られるように、持て囃されていた企業が一転、社会から厳しい糾弾に遭って株の大暴落を招くといった社会的な制裁に置き換えられているのかもしれません。

 米国SOX法では、法の遵守にあたり違反した企業や監査法人に対して重い刑罰が与えられ、社会的責任が厳しく問いただされることが抑止力となっていますが、日本のSOX法ではどこまでこの抑止力が働く内容が盛り込まれるか――性悪説と性善説のどちらに基づくかという考え方の差異が日本におけるこの法案のポイントとなるかもしれません。
 日本版SOX法の施行まで一年余り。まだ確定していない日本版SOX法の内容に翻弄され過ぎないように、システム監査や内部監査、ISOといった現在すでに存在している事柄から、まずは自社において実施していないことを見直し、最低限行うべきことを目標に設定してコンプライアンスへの取組を始めるべきだと考えます。

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