運用事例集

BSP Internationalレポート

[2006年4月19日]

日本の景気回復が進むにつれ、米国に海外拠点をおく日系企業が再び増加しつつあります。そんな中2005年6月に米国下院議会に提出され、現在も審議中の「Patent Reform Act of 2005」(特許制度改革法案)という法案があるのをご存知でしようか?今回はMicrosoft社などの企業も巻き込んだ議論がされている「Patent Reform Act of 2005」についてご紹介します。

米国ではソフトウエア構想やビジネスモデルなど、具体的な実物が存在しないものにも特許権が与えられやすくなっています。特許権の取得については日本も含め世界の主要国が、先願主義(先に特許を出願した者が特許権を有する)を採用しているのに対し、これまで米国だけは先発明主義(先に発明した者が特許権を有する)を頑なに守ってきました。そのため米国では、Microsoft社やIntel社など日系企業を含む大企業をターゲットにした「サブマリン特許」と呼ばれるビジネスが横行していました。

これは米国特許法では特許権成立までは公開義務がないことと、特許権利期間が成立から17年となるのを利用し、その特許の対象となる技術がデファクトスタンダードになった頃に特許権を取得して、その技術を使用した製品・企業に対して莫大なロイヤリティを要求するものです。潜水艦のように潜伏期間を経ていきなり特許が出現するため、このように呼ばれています。
過去の事例では、38年の潜伏期間を経た「レメルソン特許」、28年の潜伏期間を経た「グールド特許」などが有名です。また近年でもオンデマンド配信技術やカラー映像技術などが「サブマリン特許」として表面化し、Disneyや任天堂等がターゲットとなった事例があります。1995年と1999年に特許法の一部改正が実施されたため、このような「サブマリン特許」が出現する可能性は減りましたが、改正以前の特許については以前の制度が適用されるため今後も出現する可能性があります。特にwebの世界では、既に一般的に使用されている手段、もしくは誰もが既知の技術などがターゲットとなるケースもあり、海外拠点をもつ企業だけでなく海外マーケットを対象にした活動を行う際には、過去の事例や判例を確認しておくことが望まれます。

この法案により、大企業では莫大なロイヤリティを請求される機会が減ると歓迎される反面、特許の所持数が企業の技術力を示すひとつのステータスとして存在するため、中小企業がライセンスビジネスを展開する上での妨げになると抵抗する声もあります。しかし、粗悪な特許の増大や特許侵害に関する訴訟数の増大とともに、世界各国と特許法の国際調和を図る目的もあり、「Patent Reform Act of 2005」では先願主義への移行が最大の焦点となって、企業をも巻き込んだ議論が続いています。

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