運用事例集

運用の現場を取材したユーザ事例

[2006年5月24日]

東北インフォメーション・システムズ株式会社

ホストと分散処理を融合した
統合運用システム 第1回

〜マルチプラットフォーム環境における監視運用標準化の追求

東北インフォメーション・システムズ株式会社(略称:TOINX)では、ホストコンピュータによる集中化、クライアント/サーバー方式による分散化、そして高速ネットワークとセントラルサーバーによる統合化という三世代のシステムが同居している。同社は、このような運用環境における多種・多様なプラットフォームの監視について、標準的な運用を追及し、統合運用システムの機能拡充を実施。さらに、運用環境のパラダイムシフトに対応したあるべき姿を追求してシステム運用部門のビジネスモデルを描き、システム運用の高度化を目指している。

※本稿は、2006年3月16-17日に開催されたBeaconユーザシンポジウムにおける事例発表の内容をまとめたものです。

内容

<第1回>
2005年に電算センターを統合化し、バックアップ体制も整備 多種・多様なプラットフォームが混在し、三世代同居型の運用環境 統合運用管理システム機能拡充により、業務処理監視の一元化を実現
<第2回>
イベント情報のフィルタリングによって、障害への集中対応が可能に 監視効率化を実現〜監視作業項目は4分の1に 運用環境のパラダイムシフト〜監視から管理へ

ロゴ
お客様会社概要
名称 東北インフォメーション・システムズ株式会社
(略称:TOINX)
設立年月日 2001年7月1日
(東北電力関係会社3社合併)
資本金 9,680万円
売上高 249億6,600万円
(2004年度)
事業内容 総合情報サービス(資格、コンサルテーションからシステム開発・運用)、電子認証サービス、CALS/EC、IDC、ISP、ASP、人事労務総合パッケージ、情報機器の販売リース
HP http://www.toinx.co.jp/
<第1回>

2005年に電算センターを統合化し、バックアップ体制も整備

東北インフォメーション・システムズ株式会社(略称:TOINX=トインクス)は、2001年7月1日に東北電力のIT関連会社3社が合併して設立された総合ITサービス企業で、宮城県仙台市に本社を置く。略称TOINXの「TO」は東北、「IN」は情報、「X」は無限の可能性を意味し、「東北地域を拠点に、総合的な情報システムサービスの提供を通して、経済社会に貢献していきたい」という意思が込められているという。同社は、地域の情報化をより効率的に促進するために、情報システム構築サービスとともに、情報通信の基地づくりを目指し、IDC(インターネット・データセンター)サービスや電子認証サービスなど、情報通信インフラの整備充実にも積極的に取り組んでいる。さらに、電子契約・文書保管サービス、CALS/EC導入支援サービス、運用アウトソーシング、人事労務業務支援、健康管理業務支援、情報機器・サプライ販売など、幅広い事業を展開している。

TOINXは、もともと2つの拠点でシステムを運用していたが、コスト削減および信頼性向上を目的として、2005年1月に電算センターの統合化を実施。同時に、近い将来起こり得るといわれている宮城県沖地震等の災害に備えるために、バックアップシステムの構築も行った。現在は、マスター電算センターでほとんどの業務の運用管理を一括して行っている。また、重要なデータをリモートコピーして、バックアップ電算センターに送り、災害に備えて常に復旧可能な体制をとっている。

ホストシステム環境では、IBM機(IBM2064)2台、富士通機(GS8800)1台を保有し、OSとしてOS/390、z/OS.e、MSP/EX、オンラインシステムとしてIMS(DB/DC)、DB2、AIMを運用している。基幹オンラインシステムの利用ユーザは新潟を含む東北7県に及び、接続ユーザ数は約1万3,000にのぼる。約300のデータベースを保有し、1日約100万件のトランザクションを処理。トランザクション当たり平均0.2秒という高いレスポンスタイムを維持している。業務システム数に関しては、ホスト処理が283業務、ホスト・分散併用処理が96業務あり、合計約4万ジョブが運用されている。24時間365日稼動のため、オペレータはマスターセンターでは3交代勤務、バックアップセンターでは無人化を実現している。
一方、分散システム環境では、7種類計539台のサーバーを保有し、稼動OSはWnidowsNT 3.51が58台、WnidowsNT 4.1が23台、Wnidows2000が152台、Wnidows2003が85台、Solarisが76台、AIXが119台、Linuxが26台となっている。また、データベースエンジンとしてOracle、SQLServer、DB2を使用している。業務システム数は、分散処理が92業務、ホスト・分散併用処理が96業務で、合計約2万ジョブが運用されている。

図1 運用環境と設備規模
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運用環境と設備規模/図

多種・多様なプラットフォームが混在し、三世代同居型の運用環境

TOINXでは、ホストコンピュータによる「集中化」の時代から、クライアント/サーバー方式による「分散化」の時代、そしてネットワーク高速化に伴いセントラルサーバーによる「統合化」の時代へと変遷し、現在に至っている。例えば、検針データに基づいて使用料を計算するシステムについては、分散化の時代には150台の業務サーバーで運用していたが、2005年にすべてをマスターセンターに統合し、現在は8台のサーバーで運用しているという。現在は、先にも述べたようにホスト系処理(283業務)、ホスト・分散併用処理(96業務)、分散系処理(92業務)という三世代同居型のオペレーション環境となっている。
同社は従来、次のような統合運用管理を行っていた。
ホスト系の統合運用管理システムは、運用部門でのオペレーション準備作業の機械化を目的に東北電力と共同開発したJACS(Job Automatic Control System)を機能拡充したもので、マルチベンダー環境の13区画の業務処理プロセス制御・監視を集中管理する。ホスト系の監視運用については、音声通報(OS-TALK)による重点監視を行っていた。
分散系の統合運用管理システムについては、プロセス制御およびイベント監視は主にSystemWalker(富士通製)を活用し、7種のプラットフォームからなるサーバー450台上の分散業務を運用し、ホスト側のJACSと部分的な連係を行っていた。

図2 従来のマルチプラットフォーム環境での運用管理
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従来のマルチプラットフォーム環境での運用管理/図

音声通報の適用範囲はホスト系のみであり、分散系の監視運用はオペレータによる能動監視に頼っていた。そのため、多種・多様なプラットフォーム、監視ツールが混在するために、オペレータには豊富な知識が求められた。さらに、音声通報システム(OS-TALK)は通報ルートがホスト経由であるため分散システムとの連係が難しい上に、システム自身の老朽化という問題もあった。したがって、同社では、知識が低くても対応できるように監視標準化を図って統合運用管理システムの機能を拡充するとともに、分散システムとの連係を考慮して音声通報システムをリプレースすることを決断した。

統合運用管理システム機能拡充により、業務処理監視の一元化を実現

TOINXでは、ホスト系業務の監視、分散系業務の監視、およびネットワーク系の監視、それぞれ別個の監視システムを用いており、従来はオペレータがそれぞれに対応していた。今回、障害通知・実績機能、プロセス制御・連係機能、ジョブ処理 計画/実績機能を含む重点監視環境を構築し、統合監視サーバーに情報を集約することで一元的に業務処理監視を行える環境を整えた。また、従来ホストシステムだけだった音声通報システムの適用範囲を、ホストシステム、分散システム、ネットワークのすべてを対象とするように拡張した。
今回構築した重点監視環境では、各監視システムで発生したイベント情報を音声通報サーバーに集約し、「@音声通報」、「A大型画面表示」、「Bクライアント側ポップアップ表示」を行う。従来は、音声のみだった通報を、音声と画面表示を組合せ、視覚・聴覚に3通りの手段で訴えることで、オペレータおよび関係箇所への通報を徹底している。

図3 統合運用管理システムの機能拡充
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統合運用管理システムの機能拡充/図

新しい音声通報システムは、適用範囲が広いため、3つのフェーズに分けて構築を行い、ホスト系、分散系、ネットワーク系のすべての障害情報を音声通報サーバーに集約し、一元的に対応できるようにした。フェーズ1では、APLINK(BSP製品)を導入して、13区画のホストと音声通報システムとの連係、およびマスタールートネットワーク監視サーバー(MCORE)、分散系業務サーバー(SystemWalker)との連係を実現。フェーズ2では、AIX系業務監視サーバーとの連係、バックアップルートネットワーク監視サーバー(OpenView)との連係を構築。フェーズ3では、DataSpider(アプレッソ製品)を導入して、社外システムとの連係を行った。社外システムに対しては、従来は電子メールで障害情報を通知していたが、現在は音声通報できるようになっている。

図4 音声通報システムの概要
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音声通報システムの概要/図
図5 音声通報システムと各監視ツールとの連係
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音声通報システムと各監視ツールとの連係/図

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