運用事例集

運用の現場を取材したユーザ事例

[2006年5月31日]

東北インフォメーション・システムズ株式会社様

ホストと分散処理を融合した統合運用システム 第2回
〜マルチプラットフォーム環境における監視運用標準化の追求

内容

<第1回>
2005年に電算センターを統合化し、バックアップ体制も整備 多種・多様なプラットフォームが混在し、三世代同居型の運用環境 統合運用管理システム機能拡充により、業務処理監視の一元化を実現
<第2回>
イベント情報のフィルタリングによって、障害への集中対応が可能に 監視効率化を実現〜監視作業項目は4分の1に 運用環境のパラダイムシフト〜監視から管理へ



<第2回>

イベント情報のフィルタリングによって、障害への集中対応が可能に

新しい音声通報システムによって、イベント情報が一元化され、リアルタイムにイベント情報を通報できるようになった。また、統合監視サーバーとの連係も実現した。ところが、イベント情報が音声サーバー、統合監視サーバーに集中化したことで、新たな課題が生じてきた。膨大なメッセージの中には障害メッセージと計画作業に伴うメッセージが混在しているため、オペレータにとってはメッセージ切り分けの負荷が生じることになったのだ。
そこで、計画作業中のメッセージを抑止するために、イベントメッセージのフィルタリング機能を新たに追加した。このフィルタリング機能によって、オペレータには障害メッセージのみが通報されるようになり、障害メッセージに対して集中して対応できるようになり、新たに生じた課題も解決できた。
また、情報の集約とイベント情報のフィルタリングが実現できたことで、さらなる機能拡充も進んでいる。例えば、Webを介して関係部署に計画作業に関する情報を提供することによって、計画作業の予定や実績を把握できるようになり、計画作業の管理を行うことができるようになった。また、障害対応の実績のナレッジ化を進め、FAQや2次対応フィードバック、障害の是正や改善にも活用しようとしている。

監視効率化を実現〜監視作業項目は4分の1に

統合運用管理システムの機能拡充と音声通報システムのリプレースによる主な効果としては、「[1]障害対応の迅速化」、「[2]情報の共有化」、「[3]情報の一元管理」、「[4]監視効率化」があげられる。
すなわち、第1の効果として、音声通報、大型画面によるリアルタイムでの検知・通報を実現し、視覚・聴覚の両方に訴えることで、迅速な障害対応が可能になった。第2に、遠隔地などの関係箇所への通知が可能になり、リアルタイムな障害情報を共有することができるようになった。第3に、音声情報や統合運用管理サーバーに情報を集約し、一元管理を実現。対応実績を蓄積することで、傾向分析等を行うなど、さまざまな統計をとることができるようになった。第4に、能動監視から重点監視に移行したことで、監視効率化を実現でき、少数のオペレータで対応できるようになった。
監視効率化の具体例をあげると、2001年時点で約3,300項目あった監視作業項目は、2006年現在では約800項目になり、4分の1以下に減少。また、オペレータ4人6チーム体制だった交代勤務は、3人6チーム体制にスリム化し、余剰要員は上流工程へシフトしている。


図6 監視効率化の歩み
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監視効率化の歩み/図

運用環境のパラダイムシフト〜監視から管理へ

従来の監視運用は、インフラ設備や業務進捗の監視であり、障害の一次切り分けや簡単なリカバリー対応が中心だった。近年は、システムの信頼性向上によって、障害は減少傾向にあるといえる。さらに、音声自動通報や統合運用管理システムによる監視業務の効率化に伴い、オペレータが関わらなければならないことは次第に減ってきている。それ自身はよいことではあるが、オペレータにとっては経験する機会が減り、スキルが身に付かないという不安が生じているのも事実だ。
量から質への変化というパラダイムシフトの中で、運用は「守り」から「攻め」への変革が求められている。つまり、「監視」から「管理」へとシフトしていかなければならない。障害管理や計画作業管理など、これまでとは異なる新たなスキルを習得し、上流工程に参画できるように、運用部門全体で取り組んでいく必要がある。

TONIXが描くシステム運用部門の新しいビジネスモデルとは、システム運用工程の量から質への変化に対応し、「組織・人・ツール・情報」の組合せが有機的に結合し、相乗効果を十二分に発揮させるものだ。「組織」としては、開発工程に設計段階から参画し、運用版サービスインクライテリアの適用・整備を行う。「ツール」を利用して、プロセス制御・連係、サーバー側処理の計画/実績、障害通知・障害実績の把握、および重点監視支援を行い、分散システム運用の標準を確立する。「人」に関しては、業務のシェア化を推進し、共通スキルマップ/経験値マップを作成し、システム基盤技術の底上げを図る。「情報」については、維持管理資料の共通化、台帳管理のルール化を進め、情報システム資産の情報共有を推進する。

図7 システム運用部門のビジネスモデル
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システム運用部門のビジネスモデル/図

TONIXは、このようなビジネスモデルに基づいて次のような実践を行い、パラダイムシフトに対応している

実践[1]:開発工程への設計段階からの参画

従来、分散システム構築におけるシステム運用部門の関わりは、工程ごとに関わる作業チーム・担当が異なるために、システム構築に必要な情報連係が円滑に行われなかった。そこで、新たに「工程ごとの完了基準を明確化」、「開発・運用双方からの作業品質を確認」、「成果物の継続性変更管理」という運用版サービスインクライテリアの適用を進めている。

図8 運用版サービスインクライテリアの例
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運用版サービスインクライテリアの例/図

実践[2]:分散システムの運用・標準の確立

運用部門としては、多種・多様なプラットフォームに対応するために豊富な知識が要求される。先に述べたように、統合運用管理機能の拡充と音声通報システムのリプレースによって、分散システムの運用および標準の確立を実現した。

実践[3]:システム基盤技術の底上げ

TOINXではこれまで、多種・多様なプラットフォームが混在しているために、業務要件ごとに必要な技術に対応するマンパワーも、作業ピーク対応にも、追従できない状況にあった。そこで、個人スキルアップマップを活用して、スキルレベルを定期的に診断することで、人材育成、マルチスキル者の育成のスピードアップを図っている。
習得すべきスキルを明確化し、個人保有スキルを管理するための「スキルマップ」をはじめとして、実績・品質管理による技術の蓄積を行う「経験値マップ」、目標管理による技術のスキルアップを目的とする「キャリアマップ」などを作成し、基盤技術の底上げを図っている。また、これらマップを活用することで、他チームの業務支援や内製化率を高める計画との連係も行っている。

実践[4]:情報システム資産の情報共有

TOINXではこれまで、各種システム資産情報の台帳類は、チームやグループごとのポータルに展開され活用されていた。統一化された変更ルールがないために、情報共有や開示性に関して戸惑いが感じられていた。そこで、チームやグループで保有しているシステム運用情報の棚卸しを行い、部門内で共有可能な台帳類を選別した。そして、業務システムの維持・保守・再構築に対応するために、用途ごとに分類し、Web開示するためのサイトマップ化の設計を行った。



TONIXは今後の展開として、継続的なP・D・C・A(Plan・Do・Check・Action)の実施をとおして、システム運用部門のビジネスモデルの4つの柱「組織・人・ツール・情報」をさらに発展させ、さらなるシステム運用の高度化を目指している。

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